個人的好みだが、私は “固い絵” や “冷たくシャープな絵” が好きだ。アングルとドラクロワならアングル。バロックの中で言えばカラヴァッジォもしくはベラスケスだし、マネとモネなら断然マネが好きだ。 様式ではなく個々の作家の好みを述べているので一概には当てはまらないが、ヴェルフリン言うところのマーレリッシュよりはリニアー寄りだ。
しかしヴェルフリンやグリンバーグが、この対立する二項で論じたのは様式や主義であった。確かに間違いはないと思うが、個々の作家同士にも当てはめられ得る内容だと思っている。ルネサンスの作家の中にもマーレリッシュ的要素を持つ作家は居ただろうし、その逆に、バロックの作家にもリニアー的要素を持つ作家が存在したはずだ。そう考えると、同時代の作家を一括りで見るのは多少無理がある。 そして過去よりも未来である。今後 新しい芸術を創り出していく為には、様式や主義ではなく個々の作家、もしくは 一作品毎に検証していく必要 があるのではないだろうか。先に記載したアングルからマティス、そしてニューマンへ受け継がれた縦に分断する構造は、正に一作品毎に検証したその一例だ。
昔と違い、情報過多で複雑化した現代。一つの様式や主義で括れる程単純ではなく、これからの新しい芸術もグループで括る事は難しいのではないだろうか。だからこそ、作家毎 もしくは一作品毎に検証する事によって、まだ気付いていない 新しい方法で空間を表現するヒントが見つかるのではないかと思う。
2022年 記
