美術館やギャラリーで絵を鑑賞している人を見るのは、絵を観るのとはまた別の楽しさがあって面白い。人それぞれ絵の観かたや距離が違っていて、ある意味それも個性だなと思う。絵の大小に関係なく近くで観る人も居れば、一定の距離を取って観る人、近づいたり離れたり横から観たり動いて観る人など様々だ。 そう言う私はどんな観方なのかというと全てに当てはまり、結構迷惑な観賞者だ。近くからも遠くからも観るし、横からだったり下から見上げたり顔を横に傾けて観たり、部屋の端まで離れて作品と展示室を見渡したりと様々な観かたをしている。展示の流れを無視して逆周りで鑑賞したり、身を乗り出し過ぎて監視員に注意されたのも一度や二度ではなく、本当に周りの人には迷惑だろうと思う。(スミマセン、気をつけます・・・)
ところで絵画を制作する場合、作家は制作途中に作品を眺めて思考するものだが、その時の物理的距離というのも人それぞれだろう。当然作品の大きさによって多少は違うが、私の場合は客観視出来るように作品の周りの壁も多少含めて眺める為、比較的距離を取る方だ。 実は作品を観る場合、作家が思考の為に眺めた距離と同じ距離を取って 鑑賞するのがベストではないかと私は思っている。作品には近いから観える事や、遠いからこそ観えてくる事があるものだか、作家が観ていた距離と同じ距離から観ることによって、その作家が考えていた事が分かる時もある。作品を展示する際は床にテープを貼って、観る位置を指定するのもアリなのではないかなと考えている。 どちらにしても、常に一定の距離で絵を観て周るのではなく、作品毎に最適な位置を探しながら 観て欲しいと思う。
もう一つ、焦点について。私は、皆んなが作品に近寄り過ぎであり、且つ凝視し過ぎていると感じている。筆さばき等の技量を見るには距離が近いのは良いが、作品全体を観て 空間を感じ取るには、多少離れて焦点のピントを軽く外す 位が丁度良い。ピントを外すとは、言い換えれば “見ることもなく観る” とでも言う感じだろうか。作品を見ると言うよりは、作品全体を同時に眺める感じである。きっと、作品を近くで観ていた時では観えなかったモノが観えて来るだろう。是非試してみて欲しい。
しかし色々と注文を付けはしたが、私が記載した観かた以外がダメと言うつもりはなく、色々な観かたをして色々と楽しんで欲しい。作家が情熱をかけて制作した作品に対し、距離も視点も色々変えてみて、色んな観かたをして何かを感じてもらえれば、制作した甲斐があるというものだ。
2022年 記
