ニューマンについて2


バーネット・ニューマンの作品は、同時代のポロックやロスコ同様に空間を体感させる作品だ。しかし私は、以前から ニューマンだけ他の作家とは少し違う と感じている。明確に違いを指摘するのは難しいが、完成した作品に違いを感じるというより、ニューマン本人のキャンバスに対してのアプローチが違うように思えるのだ。

確かにニューマンと同じようなデザインの絵画の制作者は、同時代にも複数居た。ロスコもスティルもニューマン同様に、色面が広くデザインもシンプルだ。しかしロスコの作品もスティルの作品も、観てるうちに何かしらのイメージが湧き上がる。それに対して、ニューマンにはそれが感じられない。 おそらくニューマンは、キャンバスという支持体を “対象やイメージを描く場所” ではなく、“ある特殊な感じを体感させるモノ” と考えて 制作していたのではないか? ニューマンは “崇高” という概念にこだわっていた。自身が崇高を感じる対象をキャンバスに描くのではなく、その概念を観る者に体感させる媒体としてキャンバスと対峙していたのだろう。 ニューマンは歴史に残る素晴らしい中核的芸術絵画を制作したが、”絵描き” というイメージを私が余り感じないのも、そういった要因からかもしれない。そして根っからの絵描きではないからこそ、他の人とは違う観点でキャンバスと対峙出来たのではないだろうか。そのように感じさせる画家は、今も昔も他には見当たらない。その キャンバスに対する感性こそがニューマンの特異性 であり、ニューマンから学ばなければならない一番重要な事(作品の構図や崇高の概念よりも)だと思っている。

※ある意味ではルチオ・フォンタナのキャンバスに切れ目を入れた作品も、ニューマン同様に特殊な感じを体感させてはいる。興味深い作品と思っているが、私の考える中核的芸術絵画の部類には入らない作品なので名前は上げなかった。

2023年 記

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