ルーブル美術館に、紀元前40世紀頃の 山羊紋様の彩文土器 が所蔵されている。山羊や水鳥・犬がデザイン化されて描かれた杯なのだが、それは 現代でも通用する洗練されたデザイン である。そもそも彩文土器のデザイン性はどれも素晴らしいのだが、中でもルーブル所蔵の山羊紋様は群を抜いていると思う。
水鳥の首を長く引き伸ばし 縦ストライプに見立てて杯の口に配する案も見事だが、何と言っても山羊である。 支持体である杯と同型の胴部中央パネルの真ん中に 麦の穂が丸くデザインされている。その麦を取り囲むように山羊の角が2本大きく弧を描き、山羊の背中も角を受け継ぐように弧を描いている。また、それに合わせて腹の部分も同じようにデザイン化されていて何とも可愛らしい。山羊の脚の角度も支持体 及びパネルと合っている。今から 6千年も前 に造られたとは思えないデザイン性だ。
私はこの彩文土器を初めて観た時 そのデザインが素晴らしいと思うと同時に、結局のところデザインは何百年・何千年経っても同じなんだな と感じた。 それが「人間の考え得るデザインが変わらない」からなのか、それとも「人間が良いと思うデザインが変わらない」からなのかは 私には判断がつかない。
2021年 記
