サヴィニャック「GITANES(1954)」


レイモン・サヴィニャックというフランスのポスター画家が居る。少し毒があり、エスプリの効いたフランスらしい洒落た作風の作家で、私も好きな作家である。

サヴィニャックはジタンという煙草のポスターを制作している。1953年作と1954年作と2点あり、1953年の方がサヴィニャックらしい女性像だが、個人的には1954年の2作目が好きだ。ジプシー女性と背景を青・緑・黄色の3色で大胆に塗り分けしており、ジプシー女性の顔すら青と黄色で二分されている。シンプルなデザインに大胆なカラーリング。お洒落だしインパクトのあるポスターで、私が若い時分にその煙草を吸っていたこともあり、家の冷蔵庫にそのポスターの絵葉書を貼っているくらいに好きな絵だ。

そして このサヴィニャックの1954年の作品は、アンリ・マティス「リディア・デレクトルスカヤの肖像(1947)」を彷彿とさせる。使用している色や女性の顔の彩色など、類似点が多い。制作年からみても、サヴィニャックはマティスのこの作品を観たのかも知れない。 しかし私は、サヴィニャックにマイナスな印象は受けない。むしろマティスに対しての敬意を感じるし、ポスター作品として更に洗練させている。絵画とポスターの違いもあり、マティスは あくまでも新しい絵画空間を創出しようと実践していたが、サヴィニャックはそのマティスのデザインをグラフィック空間的に応用し、より効果的に仕上げた。ある意味マティスとサヴィニャックは、理想的な関係かもしれない。

2023年 記

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