エドゥアール・マネとエドガー・ドガは、お互いに影響し合い同時代に活動した画家だ。しかし絵画の歴史的に見ると、マネは近代美術の父とまで呼ばれているが、ドガは踊り子を描いた画家 程度の呼び名で、そこまで重要な作家とは思われていないのが現状だ。
確かにマネは印象派が発する契機になった人だし、それまでの絵画を劇的に変えた人物だ。その功績は、仕上げのワニスを止めたり陰影を排除して画面を明るくしただけではなく、絵とは絵の具で作られている事を鑑賞者に気付かせた(その媒体のメディウムを知らしめた)。そしてそれが、最終的にモダニズムまで続く流れを興した事を考えると、近代美術の父と呼ばれるのは解る。
比べてドガは流派を興した訳ではないし、時代の流れは気にせず独自の方法で新しい絵画を追求していた。だが構図の着眼点は良くても、その新しい方法で空間を表現するには至らなかった。それにはドガはパステルトーンの色彩を好み、構図の効果と合っていなかった等々あるだろう。そして結果 表現しきれなかった事を考えると、マネの評価よりも落ちてしまうのも解る。 しかしドガは “踊り子を描いただけ” では決してない。その独自の構図はマネに影響を与えるばかりか、後続する複数人の画家達へと引き継がれ、最終的に新しい絵画を生み出した。ドガの構想は間違っていなかった。そう考えると、ドガにももう少し功績を称える合った呼び名がないものか と思ってしまう。
マネとドガの2人は、印象派の同じ時代に活躍した。今となっては評価に差があるが、私は似たもの同士だと思っている。片や印象派を興したにも関わらず、印象派展には一度も参加しなかったマネ。そして時代のリーダーに影響を与えるも時代に背を向け、独自の方法で追求していたドガ。これだけでも、2人共に頑固で変わり者なのが分かろうと言うものだ。何と魅力的な2人だろうか。
2023年 記
