絵と比べて、音楽はポピュラーだ。と言うよりも、音楽に比べると 絵はマイナー と言った方がしっくりくる。何故そんなに違うのだろうとずっと考えていた。 音楽には古典以外にも多様な、文字通りポピュラーミュージックと言う名のジャンルもあるが、絵にはそう言ったジャンルは存在していない。音楽はポピュラーだからこそ、積極的に新しい音楽が作られては皆に親しまれ、提供する側とオーディエンス 相互に良い循環が生まれているのだろう。
音楽が他のメディアより圧倒的に優れている点として「他者とのコミュニケーションが図れる」というのがあると私は思っている。音楽を提供する者同士や、提供する側とオーディエンス、又はオーディエンス同士が、作品を作ったり演奏したり若しくは聞く行為によって喜怒哀楽などの感情を共に分かち合える。お互い感情の共有が出来て、その結果 繋がりや関係性が生まれる。その効果は本当に素晴らしく、他ジャンルと比べても一番ではないだろうか。ライブで盛り上がれば会場は一つになり、大勢の人達との一体感も感じられる。自分の好きな作品で他者との繋がりが生まれるのだから、音楽というジャンルがポピュラーなのも頷ける。
比べて絵だが、工房で働く人達皆で制作していた昔と違い、現在では制作は基本一人作業で、他者との共同作業は稀だ。鑑賞する場合も誰かと一緒に鑑賞しても、同じ感情を分かち合うような一体感はなく、制作する場合も享受する場合も はっきり言って 孤独 な場合が多い。しかし、それは 悪い事ではない 。絵とはそういうものであり、そもそも 感情に強く働きかける媒体ではない 。そして孤独だからこそ、中核芸術の特性としての “自己の内面と向き合う”という性質がよりいっそう強く表れる 。それが絵の良さであり特徴だ。
当たり前だが絵と音楽、どちらが優れている等ではない。どちらも人類にとって必要であり、それぞれ良さがある。
2022年 記
